2011/05/15

原発という技術のガバナンス

4月に中学校に入学したばかりの1年生に向けてガイダンスの授業を行った。技術とは何かを身近なものからアイディアを発見させる実習を行わせる中で考えさせた。授業の最後にいつの間にか原発の話をしていた。
「一般の人は技術を知らなくていいのだろうか?本当に専門家任せでいいのだろうか?」
と言い放った時の生徒たちの顔が忘れられない。

多くの生徒は,何がどのように危険で,そのリスクをどういった技術で回避し利用しているのかについても,原発事故の前にはほとんど関心がなかったに違いない。しかし,次々に放射性物質による汚染が広まり,身近でもわずかながら放射線量が増加いている現実を知って,事の重大さを実感している。

それに対して,大人の言動には信じられないものが多かった。
「福島に原発があるのを知らなかった。」
「原子力発電は環境にいいと思っていた。」
「こんなに広い範囲で影響が出るなんて知らなかった。」
そんな大人が有権者として,これまで国策として進められてきた原子力政策を後押ししてきた。

東京電力は福島と新潟に原発をつくり首都圏の電力の多くをまかなっていたことをCMしていたし,CO2を出さないといっても廃棄物や事故が起こった時に大きなリスクがあることぐらい知っているものと思っていた。私自身もこの数ヶ月で原子炉のことにはだいぶ詳しくなったけれども,その安全性に対して厳しい目を向けてこなかった大人には大きな責任がある。

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