簡易CAD/CAM実習で,コースターを作る。加工機(グリロボ)は3台,同時に使える生徒は3人,授業は36人,時間にゆとりがある生徒にレポートを書かせる対策はしたが,正直彼らの関心を引きつけ続けることができるのか不安だった。しかし,今日の授業でその不安は消えてなくなった。
自分のPCでデータをつくってネットワーク上に保存,加工機につながれたPCでデータを読み込み加工し,また自分の席に戻っては加工する生徒達。たいしたものは作れないとあきらめていた指導者の私,しかし生徒は失敗を繰り返しながら,次々に技術的課題を乗り越えていく。失敗してやりなおし,修正してまた挑戦。この感覚・・・そうこれはロボコンの感覚だ。何度も作り直して納得がいくまで高めていくから,出来なかったことが出来るようになっていってしまう。不思議な感覚だ。
単純な形が精一杯だろうと指導者の私は勝手に思っていた。そんなことはなかった。技術的な課題があればあるほど,何回かの失敗を繰り返して,彼らは加工技術を身に付けていった。出来上がった作品だけを見て,美術的とか批判される方に言いたい。彼らは加工機(グリロボ)が発砲スチロールを熱で溶断加工する特性を理解して,細部の再現性の限界を追求している。彼らの作り上げたデータは,何百個でも量産できる。ただ一つのモノを作り込む工芸的な世界とは対局にあるものづくりの世界だ。
彼らに課した課題は,「2つの色のスチロール版を組み合わせてコースターをつくれ!」ただそれだけ,最初にあったのは私の作った見本数種類さすがに厳しかった。しかし,もう既に40作品程度が完成するに至って,授業に望む生徒の姿が変わってきた。彼らの目標は同級生を超えること。互いに切磋琢磨しはじめた。
かつて,オートマ君を使って模型の車を自動化するプログラムを試行錯誤してつくりあげさせたことがあった。似ているが,大きく違うことがある。作り上げられたデータを使えばいくつでも同様のものをつくることができてしまう。
世の中にあふれる様々な工業製品を見て,機械で作ったからみな同じと考えがちだ,しかし,こうして身分で量産部品の試作を経験してみると,その機械を使いこなすためには,その加工機の特性を十分に理解しなければならない。ヒーターで溶断しているから,加工精度は気温にも左右される。大量生産だとしても,一定程度の精度を実現するためには温度管理も大切な要素であることがよくわかる。
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