2012/12/04

人と土地の不可分な関係

第26回日本民教連交流研究集会にレポーターの1人として参加。午前中の講演は,第五福竜丸展示館の安田さんだった。ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験で被爆した第五福竜丸,原爆症を発症した乗組員,次々にみつかった汚染されたマグロ,私の事前の知識はその程度,大学時代の恩師が,第五福竜丸展示館に行くべきだと語られていたことが気になっていた。

安田さんは,事実を今でも調べ続けている。講演では,第五福竜丸とその後の日本での問題というよりも,マーシャル諸島の島々に住む人達について語られた。福島の事故があってはじめて自分達の問題として考えられるようになった自分が恥ずかしい。
アメリカがなぜ,水爆実験にマーシャル諸島を選んだのか。島の自然と共に暮らしてきた人々の暮らしをどう破壊してしまったのか,移住させられたことで何が変わり,なぜ危険だとわかっているのにそのまま暮らすことになっているのか。アメリカにどんな意図があったのか。一つ一つが全て調べ上げられた事実を元に語られた。すごかった。安田さんが語られたのはマーシャルの現代史だった。

かわいそうだとか,援助するとかそういうことじゃない。マーシャル諸島の人達にとって,生活と島々が不可分の関係であったように,我々の生活もまた,この土地と不可分な関係にある。そこには自然があり,自然の元に育まれた文化がある。何も変わらない,明日自分達が同じ立場になったとしても何の不思議もないし,マーシャル諸島の人達がそうであったように,苦しみ子ども達の未来を考え悩み続けるに違いない。

3月11日は私たちにとって特別な日になってしまった。わずか数日で福島第一原発は次々にメルトダウンとした。あの時真剣に悩んだことを忘れてはいけない。家族を西日本に避難させるべきかもしれないと親類と連絡をとりあい。近所には大阪方面に避難した人が大勢いた。避難してきた人もあふれていた。SNSでは東日本にはもう住めないかもしれないとのつぶやきがあふれ,教員の私はこの土地に最後まで残ることを覚悟した。そして,その状況は福島で未だに続いている。

何も特別なことなんかじゃない,私たちはこの土地で生きている。この土地の自然の中で暮らしている。人間と自然との関係,この土地の風土が育む文化,社会,技術。どんなに文明が進んでもその関係は変わらない。






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