昨晩録画しておいたNHKスペシャル「世界を変えた男 スティーブジョブズ」を見た。彼の死後すぐに伝記が出版されている。書店に並んでいるからその存在を知っておられる方は多いだろう。私も知ってはいたのだが,買う気にはならなかった。日本では電子版でも書籍で購入するのと同じ値段(アメリカでは半額らしい)であったこともあって,Ⅰ巻とⅡ巻あわせて約4千円を自分のiPadにダウンロードするのに躊躇していたからだ。
NHKスペシャルでは,ジョブズに関わった人達から彼の姿が語られていた。私が購入を躊躇してきた彼の伝記が元になった番組だった。そして番組の最後は,ジョブズ自身の次の言葉でしめくくられていた。
スティーブ・ジョブズⅡ 第41章 受け継がれていくモノ pp314-315 より引用なにが僕を駆り立ているのか。クリエイティブな人というのは、先人が遺してくれたものが使えることに感謝を表したいと思っているはずだ。僕が使っている言葉も数学も、僕は発明してない。自分の食べ物はごくわずかしか作っていないし、自分の服なんて作ったことさえない。
僕がいろいろできるのは、同じ人類のメンバーがいろいろしてくれているからであり、すべて、先人の肩に乗せてもらっているからなんだ。そして、僕らの大半は、人類全体になにかをお返ししたい、人類全体の流れに何かを加えたいと思っているんだ。
引用としては,この程度が限界だろうか,後はぜひ購入して読んでほしい。私も番組が終わった直後にダウンロード,最初と最後を読んで,今真ん中を読み進めている。私はこの言葉が番組のしめくくりに映し出した瞬間に,涙が出るほどうれしかった。本当に涙が出てきた。なぜって,それはITの時代最もクリエイティブで輝いていた彼が,先人が遺してくれたものが使えることに感謝を表したい・・・と語っているから,彼の伝記がこの言葉でしめくくられていることの意味の大きさを感じたからだ。IT業界を引っ張り,時代をリードしてきたジョブズの言葉であることの重みは大きい。
技術は人類の文化だと思う。この4~5年子ども達といっしょになって授業で学びを共有し,先輩達の学びを後輩達に継承していく取り組みを続けてきた私は,実践を進めれば進めるほどこの感覚が人類共通の感覚であるべきだと思いを深めている。今日また,ジョブズの言葉に触れてその確信を深めた。
先日著作権の授業をした。「○○をコピーしてはいけません」とか,「○○をコピーして友達にあげることは法律で禁止されています。」なんていう程度の知識はすぐにはげ落ちてしまうしその人の将来を変えることにはつながらない。しかし,何かを参考にして自分なりの工夫を加えて作品をつくり出す経験を3年間にわたって積みかねた時,子ども達の反応は全く違ってくる。 守らなくてはならないとは知っていたけど,自分にとって著作権は面倒なだけと思っていた生徒が,著作権があることで,さらに優れた作品を生み出すことができることを知って考えが変わったと書いている。詳しい分析はこの冬休みに行うつもりだが,先日評価出しをしながら,これまでの授業の感想(まとめ)とは全く違うレベルの反応が書かれていた。
自分は技術を支える社会の一員なんだと,実感をもって理解させられる技術教育を目指したい。
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