2011/09/11

立体グリグリV3.4リリース 著作権者の立場から著作権を学ぶ

立体グリグリVersion3.4をリリースした。開発自体は1年前に完了いていたのだが,うちの学校での実践での検証と,数多くの立体データを収録しての配布だ。
http://www.gijyutu.com/g-soft/guriguri/

今回のバージョンUPの肝は,左の画面写真の右下のところに表示される。著作権情報という欄だ。立体グリグリで作成した立体に著作権情報を掲載することができるようになった。

授業では,3時間かけて作成したオリジナル立体にその立体的な図面の著作権情報を記入させる。そんなのたいしたことないだろうと思うかもしれないが,そこが新しいところだ。これまで著作権の学習というと,著作権を守りましょうといった著作権保護の学習が中心に据えられてきていた。しかし,著作権などの知的財産権は,本来守るためや守らせるためにあるものではない。著作権も著者の死後一定の期間をすぎると誰もが自由に使うことができるパブリックドメインになる。著作権を守るのは,著作権者の立場にある人が報酬を得られるようにすることで,文化や文明をより豊かなものにしていくことにある。

例えば,レオナルドダビンチの設計した様々な図面には著作権はもうない,パブリックドメインとして誰もが参考にすることができる。実際,彼の設計にインスパイアーされた技術者は多いだろう。産業革命の時代イギリスでは,ワットの蒸気機関などたくさんの技術者の手によって様々なアイディアが特許として出願され,一定期間の間独占的に利用できることとひきかえに,全ての人に公開され,一定期間後には,全ての人が自由に使うことができるパブリックドメインとなった。著作権と特許権の違いもあるが,それ以前に,こうした仕組みが,技術や文化を発展させるための仕掛けであることを伝えたい。

授業では,まず先輩の作品を参考にさせる。その先輩の作品が立体グリグリVersion3.4には収録されている。それらを見せた上で,自分で著作権情報を入力する際には,○○先輩の作品を参考にしたと明確に記述させる。何も参考にしていないは許されない。参考にされるものは先輩の作品ばかりではない,金閣寺や銀閣寺の立体を作り上げた生徒たちは,いずれもその建築の構造やバランスに驚き,著作権情報にその記載をしていた。

著作権者の立場になって,著作権者でさえ何かを参考にしなければ,何も生み出せないことを実感を込めて理解させたい。立体グリグリVersion3.4ならそれが可能だ。

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