立体グリグリVersion3.4をリリースした。開発自体は1年前に完了いていたのだが,うちの学校での実践での検証と,数多くの立体データを収録しての配布だ。
http://www.gijyutu.com/g-soft/guriguri/
今回のバージョンUPの肝は,左の画面写真の右下のところに表示される。著作権情報という欄だ。立体グリグリで作成した立体に著作権情報を掲載することができるようになった。
授業では,3時間かけて作成したオリジナル立体にその立体的な図面の著作権情報を記入させる。そんなのたいしたことないだろうと思うかもしれないが,そこが新しいところだ。これまで著作権の学習というと,著作権を守りましょうといった著作権保護の学習が中心に据えられてきていた。しかし,著作権などの知的財産権は,本来守るためや守らせるためにあるものではない。著作権も著者の死後一定の期間をすぎると誰もが自由に使うことができるパブリックドメインになる。著作権を守るのは,著作権者の立場にある人が報酬を得られるようにすることで,文化や文明をより豊かなものにしていくことにある。
例えば,レオナルドダビンチの設計した様々な図面には著作権はもうない,パブリックドメインとして誰もが参考にすることができる。実際,彼の設計にインスパイアーされた技術者は多いだろう。産業革命の時代イギリスでは,ワットの蒸気機関などたくさんの技術者の手によって様々なアイディアが特許として出願され,一定期間の間独占的に利用できることとひきかえに,全ての人に公開され,一定期間後には,全ての人が自由に使うことができるパブリックドメインとなった。著作権と特許権の違いもあるが,それ以前に,こうした仕組みが,技術や文化を発展させるための仕掛けであることを伝えたい。
授業では,まず先輩の作品を参考にさせる。その先輩の作品が立体グリグリVersion3.4には収録されている。それらを見せた上で,自分で著作権情報を入力する際には,○○先輩の作品を参考にしたと明確に記述させる。何も参考にしていないは許されない。参考にされるものは先輩の作品ばかりではない,金閣寺や銀閣寺の立体を作り上げた生徒たちは,いずれもその建築の構造やバランスに驚き,著作権情報にその記載をしていた。
著作権者の立場になって,著作権者でさえ何かを参考にしなければ,何も生み出せないことを実感を込めて理解させたい。立体グリグリVersion3.4ならそれが可能だ。
2011/09/11
2011/09/05
原発事故,技術教育に今できること
今,テストを採点しながら,東大の児玉龍彦氏(放射線医学の専門家)のインタビューをUstreamで見てた。夏休みはじめにツイッターで児玉氏の国会での発言を知り,youtubeで見た時にはその怒りに圧倒されて,これが今の現実なんだと理解した。
http://www.youtube.com/watch?v=O9sTLQSZfwo
そんな児玉氏がUstreamのインタビューでは笑顔で話されている。
http://www.ustream.tv/recorded/16442790/highlight/192344#utm_campaign=fhighlights&utm_source=6&utm_medium=technology
しかし,内容はシビアだ。放射能がまき散らされてしまったこと,これまでの常識を越えて広範囲に,法律の想定を越えていること。線量の高い地域に住むかどうするかは,被災者が決めるべき問題であること(患者が治療法を選択するという例えはわかりやすかった。)。
自分も震災の直後に同じようなことを,このBLOGに書いたが,自分にできることを精一杯やることが,この原発事故の問題を解決することにつながると信じるしかない。
技術科の授業ではエネルギー変換が来年度から選択から完全に必修となる。何を作るかばかり考えるよりも,今目の前の技術の問題,社会的課題に正面から向き合わなければならないはず。教科書に書かれていないとかそんな問題ではない現実が今目の前に広がっている。3月11日から半年がすぎようとしている今,世の中はあの時のことを忘れようとしてはいないだろうか。今この瞬間にも7万人を越える人達が避難している。校庭で遊べない子ども達がいる。この事実から私達は何を学ぶべきなのか。
茨城では,原子力ハンドブックなるものが,各学校に配布され,原子力教育が推進されてきた。書かれているのは科学的には正しい内容だ。事故に対してこれまでどう対応してきたかも正確に要約して書かれている。しかし,自分にはその先に「だから原子力発電は大丈夫なんですよ。必要なんですよ。」という編者の意図が見えてしまう。自分の考えを生徒に押しつけることはしないが,事実を生徒の前に示して,判断をさせるのが本来の姿のはずだ。
どんなやり方ができるのか,原子力ハンドブックが全てではないはず,技術科教師で知恵を持ち寄って生徒に何を伝え,どう判断させていくのか,しっかりとした授業を組み上げたい。技術教育に関わるものにとって,それが自分達にできる精一杯頑張れることなのではないか。
偶然にも昨年度,消費電力量リミッター http://www.ashida-design.com/data/limiterGEL-1_pamphlet_110214.pdf というアイディアを考え教材化していただいていた。あらかじめ設定した消費電力量に達した時に電源をカットする機能と,DCモーターなどの消費電力量をリアルタイムに表示できる。このBLOGでも以前その検証の様子を紹介している。http://gijyutu.blogspot.com/2010/08/blog-post.html この教材は既に市販され,購入可能だ。
先日学会でも公開したが,大学の先生方の反応はかなりいい。LEDと電球の比較もできるだろうなど,アイディアもいただいた。どう使うかは,現場の先生方次第,学校に1台あれば消費電力を意識された授業展開が可能になる。
これまでエネルギー変換といいながら,効率や損失については授業ではほとんど無視されてきた。原発事故が起こった今,消費電力量という単位を授業に導入する価値は高まっている。この課題を私達の総力をあげて乗り越えようと思う。技術教育が社会の期待に応えるのは今だ。
http://www.youtube.com/watch?v=O9sTLQSZfwo
そんな児玉氏がUstreamのインタビューでは笑顔で話されている。
http://www.ustream.tv/recorded/16442790/highlight/192344#utm_campaign=fhighlights&utm_source=6&utm_medium=technology
しかし,内容はシビアだ。放射能がまき散らされてしまったこと,これまでの常識を越えて広範囲に,法律の想定を越えていること。線量の高い地域に住むかどうするかは,被災者が決めるべき問題であること(患者が治療法を選択するという例えはわかりやすかった。)。
自分も震災の直後に同じようなことを,このBLOGに書いたが,自分にできることを精一杯やることが,この原発事故の問題を解決することにつながると信じるしかない。
技術科の授業ではエネルギー変換が来年度から選択から完全に必修となる。何を作るかばかり考えるよりも,今目の前の技術の問題,社会的課題に正面から向き合わなければならないはず。教科書に書かれていないとかそんな問題ではない現実が今目の前に広がっている。3月11日から半年がすぎようとしている今,世の中はあの時のことを忘れようとしてはいないだろうか。今この瞬間にも7万人を越える人達が避難している。校庭で遊べない子ども達がいる。この事実から私達は何を学ぶべきなのか。
茨城では,原子力ハンドブックなるものが,各学校に配布され,原子力教育が推進されてきた。書かれているのは科学的には正しい内容だ。事故に対してこれまでどう対応してきたかも正確に要約して書かれている。しかし,自分にはその先に「だから原子力発電は大丈夫なんですよ。必要なんですよ。」という編者の意図が見えてしまう。自分の考えを生徒に押しつけることはしないが,事実を生徒の前に示して,判断をさせるのが本来の姿のはずだ。
どんなやり方ができるのか,原子力ハンドブックが全てではないはず,技術科教師で知恵を持ち寄って生徒に何を伝え,どう判断させていくのか,しっかりとした授業を組み上げたい。技術教育に関わるものにとって,それが自分達にできる精一杯頑張れることなのではないか。
偶然にも昨年度,消費電力量リミッター http://www.ashida-design.com/data/limiterGEL-1_pamphlet_110214.pdf というアイディアを考え教材化していただいていた。あらかじめ設定した消費電力量に達した時に電源をカットする機能と,DCモーターなどの消費電力量をリアルタイムに表示できる。このBLOGでも以前その検証の様子を紹介している。http://gijyutu.blogspot.com/2010/08/blog-post.html この教材は既に市販され,購入可能だ。
先日学会でも公開したが,大学の先生方の反応はかなりいい。LEDと電球の比較もできるだろうなど,アイディアもいただいた。どう使うかは,現場の先生方次第,学校に1台あれば消費電力を意識された授業展開が可能になる。
これまでエネルギー変換といいながら,効率や損失については授業ではほとんど無視されてきた。原発事故が起こった今,消費電力量という単位を授業に導入する価値は高まっている。この課題を私達の総力をあげて乗り越えようと思う。技術教育が社会の期待に応えるのは今だ。
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